2021年08月16日
「絃上」藤原師長の琵琶と名古屋の地名由来!
まさかの名古屋市瑞穂区師長町!
そのものズバリ!
同じく瑞穂区の妙音通。
また、地下鉄「妙音通」駅。
もうびっくり!
保元の乱で崇徳上皇側について敗北した
藤原頼長の子 藤原師長。
琵琶の名手だったという。
琵琶の腕を磨くために唐に渡ろうと夢見て
都を出て摂津国の須磨の浦まで来たとき、
塩屋の汐汲みの老夫婦による
琵琶と箏の「妙音」の調べに驚嘆した。
只者とは思われぬ名演奏。
この老夫婦
実は自分達は村上天皇と梨壷の亡霊であると語る。
師長の入唐を思い留まらせるために
この世に現れたのだと続ける。
師長は自分の腕の未熟を知り、唐行きを諦める。
村上天皇の亡霊が語る
延喜の醍醐天皇の治世に支那から渡された
絃上(玄象)、青山、獅子丸という琵琶三面。
これら『平家物語』に描かれている伝説が
能「絃上」の主題となっている。
*注:宝生・喜多・金春・金剛流では「絃上」、
観世流では「玄象」と呼ばれる。
さて、前置きが長くなったが、
本題。
この師長、
父親の敗北により
自らも地位を奪われて、平清盛により
尾張国井戸田という地に遠流された。
故に
名古屋市瑞穂区とその周辺に
藤原師長と琵琶伝説にちなんだ地名がある。
ということを
今、知った。
いや、名古屋で生まれ育った自分は
とうの昔からそれらの地名だけは知っていた。
が、その由来を、
たった今、知ったのだ!
妙音通の「妙音」は、
この琵琶と箏の「妙なる音」を指している。
瑞穂区には琵琶塚もあるそうだ。
また名古屋には枇杷島という地名もある。
自分はずっと果物のビワだと思っていたが、
どうやら楽器の琵琶が由来らしい。
また名古屋の郊外、
織田家ゆかりの清州には
配流中に恋仲となった白菊という娘に由来する琵琶塚と
「恋待白菊」と題するモニュメントがあるという。
昨日、あることがきっかけで
7年前に習った能「絃上」の謡本を出してきて、
その謡を聴きながら歴史的背景を調べた際に、
名古屋に現存する地名の由来について知った次第だ。
「絃上(玄象)」のあらすじに関して
名古屋を拠点に活躍されている能楽師 久田勘鷗氏が
大変よくまとめておられるので、
同氏のウェブサイトから
物語から入る能のあらすじ「玄象」
のページにリンクさせていただく。
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